一般皮膚科とは

一般皮膚科イメージ

皮膚に何らかの異常があって来院された患者さんが最初に診察する診療科が一般皮膚科です。当診療科では、湿疹がみられる、皮膚が赤く腫れている、肌がかゆい、虫に刺された、やけどをした、日焼けで肌が痛い、水虫ができた、など、原因特定の有無に関わらず皮膚に関する症状について診療いたします。

また皮膚科が取り扱う範囲には、爪や髪といった部位も含まれます。そのため、爪が変色している、爪が割れている、爪の周りが痛いとか、脱毛症といった症状も診療範囲となりますので、遠慮なくご受診ください。

なお、皮膚は全身を映す鏡とも言われるように単なる皮膚疾患としてではなく、栄養不足や全身疾患の一症状として肌にかぶれや炎症、かゆみといったものが現れることもあります。自己判断はせず、速やかに皮膚科を受診しましょう。

このような症状は
一度ご受診ください(例)

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは

乳幼児に発症し、成長に伴い軽減することが多いアトピー性皮膚炎ですが、症状が持続したり、思春期にいったん良くなったものが成人になって再燃したり、成人してから発症するというケースも見受けられます。
典型的なアトピー性皮膚炎の患者さんでは、頸部、肘・膝の屈曲部に皮疹が見られます。主な症状は、かゆみ、左右対称に湿疹(赤み、ぶつぶつ、かさつき、かさぶた、など多彩な皮疹)を長期に渡って繰り返すといったことです。
擦れたり、濡れたりといった外からの刺激には明らかな左右差が無いにも関わらず、皮疹が左右対称でない場合、アトピー性皮膚炎以外のご病気の可能性もありますので、ご相談下さい。

治療について

乳幼児に発症し、成長に伴い軽減することが多いアトピー性皮膚炎ですが、症状が持続したり、思春期にいったん良くなったものが成人になって再燃したり、成人してから発症するというケースも見受けられます。
典型的なアトピー性皮膚炎の患者さんでは、頸部、肘・膝の屈曲部に皮疹が見られます。主な症状は、かゆみ、左右対称に湿疹(赤み、ぶつぶつ、かさつき、かさぶた、など多彩な皮疹)を長期に渡って繰り返すといったことです。
擦れたり、濡れたりといった外からの刺激には明らかな左右差が無いにも関わらず、皮疹が左右対称でない場合、アトピー性皮膚炎以外のご病気の可能性もありますので、ご相談下さい。

デュピルマブ
Dupilumab(デュピクセント®)はIL-4受容体αサブユニットを標的とし、アレルギー反応を引き起こすサイトカインであるIL-4とIL-13のシグナル伝達を阻害します。これにより、皮膚炎症やかゆみの症状を軽減する効果があります。
デュピクセント®を使用される患者さんへ
ネモリズマブ
Nemolizumab (ミチーガ®)はIL-31というかゆみを引き起こすサイトカインに対する抗体薬です。アトピー性皮膚炎患者のかゆみを抑制する効果があります。
ミチーガ®を使用される患者さんへ

脂漏性皮膚炎(ふけ・かゆみ)

脂漏性皮膚炎とは

乳児と思春期以降の世代に発症しやすいとされる皮膚疾患で、前者は「乳児型」と呼ばれ多くは一過性で正しいスキンケアのみで1歳頃までに治癒します。
後者の「成人型」は男性に起きやすいと言われています。

主な症状としては、皮脂の分泌が多い部位(頭、眉・鼻・耳の周囲、胸など)が赤くなったり、黄色いかさぶた状のフケがみられたり、うろこ状のフケがみられたりします。このような症状が慢性的にみられ、良くなったり悪くなったりを繰り返します。
皮膚常在菌のひとつであるマラセチアというカビ(真菌)が発症に関わっているといわれているほか、アンドロゲン(男性ホルモン)による皮脂分泌の亢進などが原因として挙げられています。

治療について

まずはスキンケアとして石鹸やシャンプーを使用して、余分な皮脂を洗い流し、肌を清潔に保っていきます。また患部にステロイドの外用薬を用いることもあります。このほか、マラセチアを抑制するために抗真菌薬の外用薬や薬用シャンプーを使うケースもあります。

湿疹、かぶれ

湿疹、かぶれとは

湿疹とは、原因をはっきり特定することができない紅斑(赤み)や丘疹(ブツブツ)、水疱(水ぶくれ)などの皮疹にかゆみが伴っている状態のことを言います。現時点では、ホコリ、ダニ、ペットの毛、薬剤、食物、植物といった外的因子のほか、乾燥肌、アトピー素因、皮膚バリア機能の低下などの内的要因(生まれ持った要素)が主な要因と考えられています。原因が多岐にわたるため、原因を除去して治療するのが困難です。

一方のかぶれは、正式には「接触性皮膚炎」と呼ばれる皮膚疾患で、原因物質(アレルゲン)に触れたことで発症する湿疹・皮膚炎のことを言います。かぶれを引き起こす原因としては、金属製品、植物、化学物質などのアレルギー性接触皮膚炎、酸や強アルカリ、毒性の強い虫に触れるなどして発症する刺激性接触皮膚炎があります。また原因物質に触れた後に太陽光などの光を浴びるなどして、かぶれの症状がみられることもあります。これを光接触皮膚炎と言います。

治療について

接触性皮膚炎のように、原因が特定可能な場合であれば、原因物質を除去する、あるいは触れないようにする対策をしていきます。またかゆみの症状が強ければ、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬内服などの薬物療法が行われます。

じんましん

じんましんとは

何の前触れもなく、境界がはっきりした赤いかゆみのある少し隆起した発疹(円形、楕円形など形は様々)が発生するものの、数時間~24時間以内には何もなかったように皮膚症状が消失してしまうのがじんましんです。ちなみに発疹は特定の部位に限らず、全身のあらゆる部位に発生する可能性があります。
掻けば掻くほど、掻いたところに赤みやかゆみが広がっていくのも特徴の一つです。

じんましんは大きく原因が特定できない特発性じんましんと、ある特定の刺激が引き金となって発症する原因がはっきりしている刺激性誘発型じんましん(アレルギー性、食物依存性運動誘発アナフィラキシー、非アレルギー性、アスピリン不耐症、物理性(機械性)、コリン性、接触性 など)に分けられますが、多くが原因の特定できない特発性じんましんと言われています。

また特発性については、急性と慢性に分けられ、発症から6週間以内に治まる場合を急性じんましん、6週間以上続いている場合を慢性じんましんと言います。特に小児の急性じんましんは上気道感染に伴うものが多いと言われています。慢性じんましんは、原因を特定するのは困難なのが特徴で、多くの患者さんは、夕方から夜間にかけてじんましんの症状が出て、日中には消失するというパターンを繰り返すようになります。

治療について

特発性じんましんの患者さんでは、抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)の服用が中心となります。慢性の患者さんの場合は長期に渡って内服することになりますが、症状が抑えられるようになれば徐々に量を減らすなどしていきます。原因が特定できる場合は、じんましんを引き起こすアレルゲンや刺激物を除去するなどしていきます。

にきび

にきびとは

正式名称は「ざ瘡」です。これは男女問わず分泌されている男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌が亢進することにより、皮脂の過剰分泌が起こることと、毛穴が詰まることにより、面皰(毛穴に皮脂が溜まった状態)が形成されます。この皮脂がアクネ菌の栄養源となって増殖していった結果、皮膚は赤みを帯びて隆起し、さらに悪化すると膿となり、最終的に赤みや色素沈着を残して治癒します。

ホルモンの影響で皮脂の分泌が増える思春期の男女によくみられ、顔面、胸背部などに生じます。なお膿疱を繰り返すようになると、治癒した後に凸凹した瘢痕化がみられるようになるので注意が必要です。

成人のにきびは、ストレスや、不適切な食事、睡眠不足や生活リズムの乱れが関与している場合があります。

治療について

にきびの治療は、発症部位に抗菌薬やピーリング(毛穴の詰まりを取り除く)作用のある外用薬を塗る方法が一般的です。また炎症が強い場合は内服の抗菌薬も使用していきます。このほかスキンケアとして適切な洗顔のほか、ストレスの発散、適切な食事・睡眠など、生活習慣の改善といったアドバイスも行います。

脱毛症

円形脱毛症とは

円形脱毛症は、典型的には境界がはっきりした円形の脱毛斑(直径2~3㎝程度のコインのような丸い形)がみられている状態です。単発の脱毛斑(単発型、最も多い)や、脱毛斑が多発しているもの(多発型)が多いですが、脱毛が全頭部に拡大したもの(全頭型)、脱毛が全身に拡大したもの(汎発型)、頭髪の生え際が帯状に脱毛するもの(蛇行型)といったパターンがあります。

毛包に対する自己免疫の仕組みが主な病態と考えられています。疲労や感染症などの肉体的、精神的ストレスが引き金となるとされていますが、実際には何のきっかけも無いことが多いです。
他の自己免疫疾患(膠原病)、アトピー素因のある方、甲状腺疾患をお持ちの方に生じやすいと言われています。

治療について

脱毛斑が少なく発症から1年以内の場合は、治療をしなくても治癒することが多いですが、脱毛の範囲が広い場合には治療が必要です。多くはステロイドの外用薬が使用されます。また数が多い場合や面積広い場合は、ステロイドの局所注射や紫外線療法が行われます。
急速に脱毛が広がる場合には基幹病院での入院でのステロイドパルス療法が行われる場合もあります。

脱毛症でお悩みの方〜メディカルアートメイクでできること〜

円形脱毛症により、眉毛やまつげが抜けてしまうことは、見た目の変化だけでなく、心理的なストレスや自信喪失にもつながります。そんなお悩みをお持ちの方に、当院ではメディカルアートメイクをご提案しております。
眉毛やまつげの脱毛にお悩みの方、ぜひメディカルアートメイクをご検討ください。お悩みが少しでも軽減され、毎日の生活がより豊かになることを願っています。

原発性多汗症(腋窩多汗症・手掌多汗症)

原発性多汗症とは

明らかな原因がなく腋窩(わきの下)や手掌(手のひら)の過剰に汗をかく症状のことを言います。原発性というのは、他の疾患や薬物の副作用などによって引き起こされるものではなく、原因が明らかでないものを指します。
この疾患は、通常の生理的な範囲を超えて腋窩からの発汗が増え、普通の温度やちょっとした活動でも強い発汗を経験し、温度の上昇やストレス、緊張などによってさらに悪化します。この疾患は通常、思春期または若年成人期に始まり、一生続くこともあります。
どちらも、日常生活に大きな影響を及ぼし、社会生活を大きく害される場合もあります。

治療について

市販のアルミニウム塩やフェノールを含む制汗剤が最も一般的ですが効果は限られています。病院での治療として、ボツリヌストキシン(ボトックス®)注射やイオントフォレーシス(イオン導入)、手術(例:交感神経遮断術)、抗コリン薬内服などがありますが、できる施設が限られていたり、副作用や体への負担の大きいものが多かったり、なかなか多くの患者さんに勧められる治療とは言い難いものでした。
近年、発汗をコントロールしている神経をブロックすることで発汗を抑える塗り薬による治療が登場し一定の効果を得られています。ぜひご相談下さい。

水虫、爪水虫

水虫、爪水虫とは

水虫は、正式には「足白癬」と呼ばれています。なお白癬とは皮膚糸状菌(白癬菌)による感染症のことで、足以外にも手、頭部、体部、股部、爪などで発症することもありますが、最も多くの患者さんを占めるのは足白癬です。

足白癬(水虫)は、ひとつのスリッパを不特定多数の人が履く、足拭きマットを複数の人で共有するといったことがきっかけとなって発症しますが、白癬菌が皮膚内に侵入して感染するまでに24時間かかるとされ、それまでに足を洗い流すことができれば感染は予防できますが、足に皮剥けやささくれ、傷口などがあればもっと短時間で感染してしまいます。また高温多湿な梅雨〜夏の季節に発症しやすく、冬は発症しにくいとされていますが、白癬菌が残っていれば、暖かくなる春や夏の季節に再び発症するようになります。

なお水虫は、大きく3つのタイプに分類されます。ひとつは足の指の間に紅斑や小水疱、鱗屑などが発生する「趾間型」で、かゆみの症状も伴います。2つ目は、土踏まずなど足の裏に小水疱などが多発する「小水疱型」です。この場合、小水疱が発生するタイミングでかゆみの症状が強く出ることがあります。3つ目は、「角化型」と呼ばれるもので、これは足底や踵が角質化することで、皮膚表面が硬くなっている状態です。かゆみの症状が出ることはありません。

また、これら足白癬に続いて発症しやすいとされているのが爪白癬です(手の爪に発症することもあります)。これは、足の爪が白癬菌に感染している状態のことで、足の親指で起きることが多く、爪が白色や黄色に変色する、爪が変形あるいはボロボロと欠けるなどの症状がみられます。なお、かゆみなどの自覚症状は出ません。最近ではネイルポリッシュ(マニキュア)やジェルネイルの下で密かに進行する爪白癬が若い方にも増えています。ネイルを取った際に必ず爪の状態を確認し、変色している場合には早めに皮膚科を受診しましょう。

治療について

足白癬の治療では、主に抗真菌薬の外用薬が用いられます。ただ、角化型の場合は外用薬では浸透しにくいので、抗真菌薬の内服薬を使用していきます。また爪白癬では、抗真菌薬の内服薬が原則ですが、何らかの理由で内服できない場合には外用の爪白癬治療薬もあります。

巻き爪

「巻き爪」とは

巻き爪(まきづめ)は、爪が強く湾曲して指の皮膚に食い込んでいる状態を指します。通常、巻き爪は足の親指に起こりやすいですが、他の指にも起こることがあります。巻き爪は痛みや炎症を引き起こすことがあり、重症化すると感染症を引き起こす可能性もあります。
巻き爪の治療は、医療者が考える治療目標と患者さんの思い描く目標の間に大きなギャップがあると感じます。「治療を行わなくても再発しない状態」を期待される方も多くいらっしゃいますが、いずれの治療も効果には一定の限界があり、症状の再発を確実に防ぐ方法がないというのが現状です。巻き爪は、足(趾)の形・歩き方・靴などのさまざまな要素が複合的に影響し、生活とも密接に関わっていて、すべてを解決するのが難しいためです。巻き爪治療の目標はあくまでも「治療によって爪の形を正常に近づけた後に、治療によってその状態を維持すること」であって、治療を継続することで再発を抑えたり、再発時に繰り返し治療を行うことが重要となります。

巻き爪が軽度の場合は、以下のような自己ケアで維持できる場合もあります。

  1. 適切な爪の切り方:
    爪の角を切り落とさず残すような切り方をします。角はヤスリで削る程度にし、爪の端が皮膚に食い込まないようにしましょう。
  2. 快適な靴を履く:
    高いヒールの靴屋窮屈な靴を避け、足に適した靴を選びましょう。つま先に少しゆとりがあって、足の甲周りでしっかりと支えてくれるサイズが最適です。
  3. 爪の保護:
    巻き爪部分にガーゼや脱脂綿などを挟むことで保護し、圧迫を軽減することができます。
  4. 足の清潔を保つ:
    足の清潔を保つことは感染予防に重要です。爪をきれいに保ち、適切な洗浄と保湿を行いましょう。
  5. 爪に過度の力をかけない:
    長時間の立ち仕事や激しいスポーツなど、足に過度の力がかける活動をする場合は、適宜休憩を取りましょう。また、適切なクッション性のあるインソールや足裏をサポートするインソールを使用することで、爪にかかる力を軽減することができます。

上記の自己ケアで改善しない場合には、ぜひ当院にご相談ください。

治療について

当院では主に以下の治療を提案しています。

  1. 爪の矯正:
    巻き爪を修正するために、特殊な矯正器具を使用することがあります。これらの器具は爪を引っ張って正しい形に戻し、巻き爪を改善する助けとなります。
    自費治療
  2. 爪の部分的な切除:
    重度の巻き爪の場合、一部の爪の除去が必要な場合があります。局所麻酔を使用して痛みを軽減し、巻き爪の一部を切り取ります。この手順は一時的な緩和をもたらし、痛みや感染のリスクを軽減することができます。
  3. 手術:
    重度の巻き爪の場合、手術が必要なことがあります。爪の一部を取り除き、根治が見込めますが、麻酔などの負担も大きいため、一般的に最終手段として行います。

たこ、うおのめ

たこ、うおのめとは

慢性的あるいは繰り返しの圧迫や摩擦といった物理的な刺激によって発生する炎症のない角化症のことをたこ、あるいはうおのめと言います。正式にはたこは「胼胝」、うおのめは「鶏眼」と言います。

たこは皮膚の一部に常に圧力が加わり続けることで、その部位を守ろうと角質が増殖してしまうことで厚くなっている状態を言います。たこには、ペンだこや座りだこといったものがありますが、いずれにしても違和感はみられるものの痛みなどの症状はみられません。

一方のうおのめは、物理的な刺激を主に足で受け続けることで、角質が厚くなってしていくのですが、圧迫されていることで盛り上がることができず、皮膚に深く入り込んでいくので、痛みがみられるようになります。うおのめの発症原因は、サイズや幅の合わない靴を履いている、開帳足、歩行バランス悪いといったことなどが挙げられます。

治療について

たこ、うおのめを治療する場合は、まず物理的刺激が起きる原因を突き止めて、それを回避することと肥厚している角層の除去となります。ただし、圧痛などの症状がなければ特に治療の必要はありません。

除去する場合は、サリチル酸(スピール膏)を使用して皮膚を軟らかくしてから切削する、液体窒素を用いるなどの方法があります。

いぼ

いぼとは

正式には「尋常性疣贅」と呼ばれています。これは、皮膚の皮剥けやささくれ、小さな傷口からヒトパピローマウイルス(HPV)が侵入し、皮膚細胞に感染することで発症するものです。皮膚のあらゆる部位で起き、子ども~ご年配の方まで全ての世代でみられるとされていますが、なかでも子どもに発症しやすく、手のひらや足の裏、頸部、顔面といった部位でよくみられるのが特徴です。

いぼはほとんどの場合で自覚症状はなく、直径が約1cm未満のものが大半で形は円形のものもあれば、不規則なものもあり、色も茶色や灰色など様々で、発症部位によっても特徴が異なります。足の裏に発生する場合(足底疣贅)は、常に圧迫を受けるので盛りあがることはありません。そのため、たこやうおのめに見た目が似ていることもあります。また歩く際に痛みが出ることもあります。また顔面や頸部に発生する場合は、細長く伸びた糸状のいぼ(糸状疣贅)がみられるようになります。

治療について

いぼは、例え放置したとしても生命に関係することはないので、いぼの数が少ない、いぼ自体が大きくないということであれば、そのままということも珍しくありません。そのため治療が必要なケースというのは、痛みがある、見た目が気になる、さらに増やす可能性がある場合などに行います。治療をする場合は、液体窒素療法、ヨクイニンの内服、炭酸ガスレーザーによる焼灼術、モノクロロ酢酸療法などを行います。

当院では、最も一般的な使い捨て綿棒を使った液体窒素治療と、綿棒に比べて痛みの少ないスプレーを使った液体窒素療法を、部位や状態に合わせて使い分けています。
また、痛みが少ない治療として、モノクロロ酢酸(MCA)療法を行っています。
いずれの治療も2〜4週ごとの通院が必要となります。
それ以上間隔を空けてしまうと、せっかく小さくなったいぼが再度増大してしまう可能性があります。

液体窒素による凍結凝固療法

液体窒素により凍結・融解を繰り返すことで、病変を壊死させる、もっとも一般的な処置です。綿棒を用いた方法は深い部位まで有効ですので、足の裏などでウオノメ状で病変が深い場合などには最適です。
スプレーを用いた方法は、綿棒を用いた方法に比べると、痛みが少ないのがメリットです。ただし、深い部分には届きにくいため、足の裏などでは効果が落ちます。逆に皮膚の薄い部分では有効です。
どちらの場合も、約2週ごとの繰り返し処置が必要です。
ガイドラインでは推奨度A(行うことを推奨する)とされています。

ヨクイニン内服療法

ハトムギの種から抽出された生薬で、皮膚のターンオーバー(古い角質が脱落して、新しい皮膚に入れ替わるサイクル)を早める効果と、免疫機能の一部を活性化する働きがあると言われています。ガイドラインでは推奨度B(行うことを推奨する)とされています。

炭酸ガス(CO2)レーザー焼灼術 (自費診療)

局所麻酔をしたうえで、炭酸ガスレーザーでいぼの病変の水分を蒸散させ、病変を取り除く治療です。ガイドラインでは推奨度B(標準治療が無効であった場合に、CO2レーザー照射による疣贅治療を選択肢の1つとして推奨する)とされています。

モノクロロ酢酸(MCA)(自費診療)

強力な腐食性のあるモノクロロ酢酸溶液をいぼに浸透させて病変を壊死させる治療です。処置中は痛みが少ないですが、人によっては処置後に痛みが出たり、数日後に水ぶくれや深い傷となる可能性があります。約3〜4週ごとの繰り返し処置が必要です。ガイドラインでは推奨度C1(有効なことがあり、治療選択肢の1つとして挙げることができる)とされています。

帯状疱疹

帯状疱疹とは

水ぼうそうを引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したことがある方が発症する病気です。子どもの頃に水ぼうそうに罹患した方も多いかと思いますが、同ウイルスに一度でも感染すると体外に排出されることはなく、神経節という部位に潜伏し続けます。

その後、成人になって年をとり、免疫力が低下するようになると潜伏していたウイルスが活発化し、やがて体の片側の一部に神経痛に似た痛み(ピリピリ、チクチク、ズキズキ など)を生じます。その数日後には、皮膚症状として皮膚の表面が発赤し、やがて水ぶくれ(水疱)となり痂疲(かさぶた)へと変化していき、健康な方であれば2~3週間程度で治まりますが、患者さんによっては皮膚症状が治まっても神経痛がとれないことがあります。これを帯状疱疹後神経痛と言います。発症後3か月以上痛みが続いている場合は継続した治療が必要となります。

治療について

治療では主に抗ウイルス薬を使用していきます。また痛みが強く出ている場合は、NSAIDsやアセトアミノフェン、帯状疱疹後神経痛に対してはプレガバリンやミロガバリンなどの神経障害性疼痛治療薬による薬物療法を行います。
痛みが非常に強い場合には、痛み治療の専門家であるペインクリニックの医師を紹介します。

また帯状疱疹に関しては、あらかじめ水痘ワクチンを接種することで予防することもできます。最近では免疫が弱った方でも安全に接種していただける乾燥組換え帯状疱疹ワクチンも登場し、当院でも接種していただくことが可能です。

単純ヘルペス

単純ヘルペスとは

単純ヘルペスウイルス(HSV)の「初感染」、「再感染(同じウイルスに再び感染した場合))、「再発(感染後に潜んでいたウイルスが再活性化した場合)」により、皮膚や粘膜に水ぶくれ(小水疱)やびらん、かさぶた(痂皮)を生じる疾患です。
「初感染」時も、多くの場合、無症状ですが、高熱などの全身症状を伴い、ひどい症状になる場合もあります。
「再発」は、既にウイルスに対して免疫が出来ているので一般に軽症になります。
感染していても月に何度も再発する人と、数年に一度しか再発しない人がいます。潜伏しているウイルス量によると考えられていますが、その他に個々の免疫力やウイルスの株の違いによるとの考えもあります。
HSVは主に接触によって感染します。

口唇ヘルペスとは

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)に感染すると、ヘルペス性歯肉口内炎や性器ヘルペスなどの感染症を発症するようになりますが、これらの症状が治まったとしても同ウイルスは三叉神経節に潜伏し続けます。その後、発熱、紫外線、疲労などのストレスによって免疫力が低下すると、HSV-1が再び活性化することで、唇とその周囲に痛みが出て、やがて水ぶくれ(水疱)となって、かさぶた(痂皮)になり、発症から1週間程度で治癒します。
HSV-1は水ぶくれ(水疱)、びらん面などの病変部や唾液などとの接触感染や飛沫感染により感染します。以前、HSV-1は思春期までにほとんどが感染して抗体を持っていると言われていましたが、最近では初感染年齢が高くなり、成人での初感染が増えています。

陰部(性器)ヘルペスとは

単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)に感染すると、下半身、特に殿部や性器に再発を繰り返します。実は、性器ヘルペス初感染の多くはHSV-1ですが、その場合、再発することはまれです。
感染したときに症状が出るとは限らず、口唇ヘルペスと同様に発熱、紫外線、性交などの刺激やストレスによって免疫力が低下し、潜伏したウイルスが増殖して再発します。
HSV-2は主に性行為で感染します。すでにHSV-1に感染している場合、新たにHSV-2に感染しても無症状のことが多く、症状が出たことが無いからといって感染していないとは限りません。

治療について

主に抗ウイルス薬による薬物療法を行います。抗ウイルス薬には内服薬と外用薬があり、状況によって使い分けます。市販薬でも抗ウイルス薬の外用薬がありますが、外用薬は耐性ウイルスの出現を増加させるおそれがあると警鐘が鳴らされています。

乾癬

乾癬とは

尋常性乾癬をはじめ膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎など多岐にわたりますが、日本人の乾癬患者さんの9割近くを占めるとされているのが尋常性乾癬です。なお乾癬自体の発症率は日本では0.3%程度と言われています。

尋常性乾癬は20~40代の男性に起きやすいとされ、表面に銀白色でうろこ状の厚くなった角質(鱗屑)が付着した、境界のくっきりした赤い発疹が特徴的です。これは全身どの部分でも発症する可能性はありますが、多いのは頭部、肘、膝、臀部、背中といった部位です。爪に点状の凹凸が現れることもあります。

原因については明らかになっていませんが、遺伝、免疫の異常、ストレス、喫煙、肥満、感染症などが発症に関わっているのではないかと考えられています。

治療について

治療の基本は、外用療法でステロイドや活性型ビタミンD3(過剰な皮膚の増殖を抑えていく)を使用していきます。このほかにも光線療法(紫外線照射)、内服療法(レチノイド、シクロスポリン、アプレミラスト など)を用いることもあります。また難治の場合は、生物学的製剤を使っていきます。今の医療レベルでは完治することはできませんが、正しい治療法や生活習慣の改善により、症状を緩和できます。また、しっかり治療を継続することで生活に支障をきたすことがなくなります。これらの治療で良くならない場合や、特に重症の場合には基幹病院における生物学的製剤の治療が選択肢となります。

やけど

やけどとは

皮膚や粘膜に高温などの刺激が一定時間以上触れてしまうこと(熱湯がかかる、暖房器具に触れる など)で、皮膚組織が傷害を受けている状態をやけど(熱傷)と言います。なおやけどにつきましては、症状の程度によってⅠ度熱傷~Ⅲ度熱傷に分類されます。

Ⅰ度熱傷は表皮熱傷とも呼ばれるもので、表皮のみのやけどです。この場合、やけどした部位に紅斑やむくみ、ヒリヒリした痛みがある状態です。
Ⅱ度熱傷は浅達性と深達性に分けられ、浅達性Ⅱ度熱傷は真皮の浅層までやけどが達している状態で、患部はびらん(表皮が欠損し、その下の組織が露出している状態)や水疱などがみられている状態で痛みもあります。水疱の底は赤みを帯びていて、水疱が破れると傷となりますが、瘢痕化はしにくいと言われています。また深達性Ⅱ度熱傷は、真皮の深層までやけどが達している状態です。浅達性と同じようにびらんや水疱がみられますが、水疱の底は白っぽくなっています。治療をすると1か月程度かかるほか、瘢痕化やひきつれが起きやすくなります。この場合は痛みが軽度で知覚が鈍くなっています。
Ⅲ度熱傷は一番ひどい状態のやけどで、皮下組織にまでやけどが及んでいます。この場合は、神経までダメージを受けていることが多いので、痛みや乾燥といった症状を感じることもありません。また水疱はなく、灰白色の壊死組織が見受けられます。

治療について

やけどの治療ですが、熱傷を負った直後の対応として、まず水道水で患部を冷やすようにしてください。その後の治療については、症状の程度によって内容が異なります。

Ⅰ度熱傷では、主にステロイドの外用薬を使用していきます。Ⅱ度熱傷では、ワセリンなどの油性基剤がベースとなっている外用薬や創傷被覆材といったものを使用していきます。Ⅲ度熱傷は、壊死した組織を除去(デブリドマン)したり、植皮手術などの外科的処置が必要となる場合がありますので、基幹病院と連携して治療に当たります。

ほくろ

ほくろとは

ほくろは単純黒子とも呼ばれるもので、メラニン色素をつくる色素細胞(メラノサイト)が変化することで現れた母斑細胞の塊になります。これは先天性もあれば、後天性のものもあります。いずれにしても、その大半は良性腫瘍であるので、見た目などが気にならなければ切除の必要はありません。ただ先天性で大型のほくろ、急に発生したほくろに色むらがあって見る見るうちに大きくなっている(直径5mm以上)という場合は、悪性黒色腫(メラノーマ)など悪性化することもありますので、一度ご受診されることをお勧めします。

治療について

悪性化するリスクが高いという場合は、外科的な切除となります。保険診療では、切除した病変を必ず病理検査に出す決まりとなっています。

異所性蒙古斑

異所性蒙古斑とは

蒙古斑とは、黄色人種や黒人によくみられるとされる出生時からの臀部やその周囲にある青色〜灰色のあざのことです。これは小学校に入学する時期(学童期)までには消失すると言われています。異所性蒙古斑は、お尻以外の場所(例えば、足、腕、腹部 など)でみられる蒙古斑のことで、この場合は通常の蒙古斑と比べて消えにくいという特徴があります。

なお発生する原因については、胎児でいるときにメラニンを生成するメラノサイトが真皮(表皮の下)に残ることで生じると言われています。これがお尻以外でも発生してしまうと異所性蒙古斑となるわけです。

治療について

多くの場合は治療をせずに経過観察となります。基本的には自然に消えてなくなりますが、何かしらの理由で治療が必要な場合はレーザー療法が行われます。治療については先天性のあざということになるので、保険は適用されます。